リベルタなごやが描く未来〜地域で育む「自由」の場
- 編集 さささんぽ
- 2月9日
- 読了時間: 7分
1. はじめに
2. リベルタなごやとは?
3. 主な活動内容
4. 設立の背景と取り組み
5. 現在の課題と未来の目標
6. 支援現場の声
7. 最後に
1.はじめに
円頓寺商店街に拠点を構える「リベルタなごや」。この施設は、【相談支援・居場所作り・地域活動】を通じて、地域社会と人々をつなぐ活動を展開しています。その多岐にわたる取り組みの背景や想いを伺いました。


2.リベルタなごやとは?
「リベルタ」はイタリア語で「自由」を意味し、障がいや困難を抱える方々が自由に生活できる社会を目指しています。
円頓寺商店街というアクセスの良い立地にあり、地域住民や関係者が気軽に立ち寄れる温かな雰囲気が魅力です。
3.主な活動内容
・相談支援
利用者一人ひとりのニーズに応じて、生活全般の支援を行っています。具体的には、福祉サービス利用計画の作成や、生活がスムーズに進むよう継続的なモニタリングを実施。また、長期入院後の地域移行支援を行い、利用者が地域で安心して生活を始められるようサポートしています。
・居場所づくり
地域の子どもや大人が気軽に集まり、孤立や孤独を解消できる場を提供しています。特に「第3の居場所」として、経済的困難を抱える家庭やヤングケアラーのこどもを支援。また、社会的孤独を抱える大人にも、安心して過ごせる居場所を作っています。
・地域活動
地域住民がつながるイベントを企画・運営しています。その代表例が毎月第1土曜日に行われる「こども食堂フェスタデピッコリーノ」。単なる食事提供にとどまらず、地域コミュニティを育む場として、住民同士の交流を深めています。


※以下が取材の内容です。
4.設立のきっかけ:イタリアの制度に学ぶ
リベルタなごやの代表である近藤さんが設立を決意した背景には、1978年にイタリアで施行された「バザーリア法」の影響があります。この法律は、精神病院の廃止と患者の地域社会への統合を促進しました。
「日本ではまだ、障がい者が地域で生活するための支援が十分に整っていない」と近藤さんは語ります。バザーリア法を参考に、日本でも地域社会と寄り添いながら障がい者や困難を抱える方々を支える仕組みを作りたいという想いでリベルタなごやを設立しました。
地域をつなぐこども食堂の取り組み
・こども食堂を始めたきっかけ
日進市にあるこども食堂を見学したことがきっかけでした。「食事を通じて、子どもや親同士が自然に交流し、支え合える場を作りたい」と考え、この活動をスタートしました。
・コロナ禍でも「会食形式」を維持
コロナ禍で他のこども食堂が個別提供やテイクアウト形式に切り替える中、リベルタなごやでは感染対策を徹底しながら会食形式を継続しました。その背景には「ただ食事を提供するだけでなく、こども同士や親同士がつながる場を守りたい」という強い想いがあります。「会話を通じて築かれる絆は、こども食堂の大切な価値の一つ」と語る近藤さん。その交流が、地域全体の支え合いの土台となっています。

5.活動を通じて見えてきた課題と未来
現状の課題
・人手不足と待遇の課題
福祉業界全体で相談支援専門員が不足しているほか、給与水準の低さが労働環境の課題となっています。これにより、支援者が疲弊しやすく、人材の確保が難しい現状です。
・共生社会の実現の難しさ
障がい者と非障がい者が別々に生活する「住み分け」が日本社会にはまだ根強く残っています。この壁をどう乗り越え、地域全体で支え合える社会を実現していくかが課題です。
未来への目標
・相談支援の拠点を増やし、名古屋市内でのセーフティネットを広げる。
・企業や地域団体と連携し、持続可能な資金・物資支援の仕組みを構築。
・「孤独」に悩む人々を支える居場所を拡充し、誰もが安心して生活できる地域を目指す。

6.スタッフインタビュー:支援現場の方々
吉田さん 支援を通じて利用者と深く向き合う
・働くきっかけ
精神病院での勤務経験を持つ吉田さんは、結婚を機に名古屋へ移住。福祉の現場で新たな挑戦ができるリベルタなごやに魅力を感じ、入職を決意しました。「利用者と地域社会の架け橋になれる仕事だと感じました」と言います。
・やりがい
支援を通じて利用者に寄り添うだけでなく、自分自身も成長できる点にやりがいを感じているとのこと。「他者の心の奥深さや難しさを知り、毎日新しい発見があります。簡単には理解しきれないからこそ価値がある仕事です」と話します。
・印象的な出来事
「こども食堂で家族同士が自然に会話を交わし、後に支え合う関係になった姿が印象的でした。こうしたつながりを生む場をこれからも守りたいです」と語ります。
・課題と今後の目標
吉田さんは、福祉業界の人手不足や厳しい労働環境を課題として挙げます。「相談支援所を増やし、名古屋市内でより多くの方が利用できるセーフティネットを広げたい」と話します。 また、相談者の「孤独」を解消し、安心して相談できる場を作ることにも取り組んでいきたいと考えています。
落合さん 小さな変化が支援の大きな喜びに
・働くきっかけ
株式会社マザーズからリベルタなごやに配属され、福祉分野に興味を持って支援活動を始めました。「利用者が安心して生活できる環境を作りたいという思いで働いています」と話します。
・やりがい
「利用者の生活が少しずつ変わり、前向きになっていく様子を見ると、この仕事をしていて良かったと思います」と語る落合さん。特に、引きこもりがちな子どもが外に出られるようになる瞬間に大きな達成感を覚えるそうです。
・印象的な出来事
「こども食堂に初めて来た時は緊張していた子どもが、何度か通ううちに『また来たい!』と言ってくれた時、本当に嬉しかったです」と笑顔で振り返ります。「小さな変化が積み重なり、大きな支えになると実感しています」と語ります。
・課題と今後の目標
落合さんは、趣味を活かして利用者と親しみやすい関係を築き、支援の幅を広げたいと考えています。さらに、福祉の現場でスキルアップを目指し、将来的には海外での経験も積みたいとのことです。
鷲見さん 支援を通じて共に成長する
・働くきっかけ
以前は福祉業界の会社「ネクサス」に勤務していた鷲見さん。専門的な経験を積むため、相談支援専門員としてリベルタで新たな挑戦を始めました。「利用者と一緒に目標を考え、一歩ずつ進んでいけることに魅力を感じます」と話します。
・やりがい
「多くの方の話を聞き、将来に向けた目標を一緒に考えることで、私自身も励まされます」と語る鷲見さん。利用者が少しずつ前向きになり、「次の目標が楽しみになった」と話してくれた時、支援の意義を実感したそうです。
・印象的な出来事
「こども食堂で、子どもたちが笑顔を見せ、自然にストレスを発散している姿を見ると嬉しくなります。継続することの大切さを改めて感じました」と話します。「こうした場を続けることで、地域全体の力になると信じています」と語ります。
・課題と今後の目標
鷲見さんは、地域に「居場所」を作り、人々がつながりを感じられる環境を整えることを目指しています。「利用者が安心して笑顔になれる時間を増やし、ネガティブな感情を少しでも和らげたい」と語ります。 また、スタッフが資格取得やスキルアップに挑戦しやすい環境を整えたいと考えており、同時に自身も専門資格を取得し、さらなる成長を目指しています。

7.最後に
今回の記事では、「リベルタなごや」の活動内容や想いについてご紹介しましたが、取材中にはここに書ききれないほどの貴重なお話も伺いました。「リベルタなごや」の皆様、お忙しい中、取材へのご協力をいただき、心より感謝申し上げます。
今回の取材を通して、「リベルタなごや」は相談支援やこども食堂など、地域に寄り添いながら多くの人々を支える素敵な場所であることを強く感じました。楽しいイベントや交流の場も多く、地域コミュニティを深めるきっかけにもなっています。
みなさんもぜひ一度、「リベルタなごや」を訪れてみてはいかがでしょうか。きっと新たなつながりや発見が待っています。
リベルタなごや
住所:〒451-0042 愛知県名古屋市西区那古野一丁目20番30号 5階
TEL:052-433-5717HP↓
【取材・執筆】伊藤、野村、小林
この記事は2024年12月の情報です。
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